プロデビュー

プロデビュー決定

プロテストにも合格。ライセンスが発行され会長から受け取った際の達成感は今まで味わった事のない気持ちでした。
その時は一つの事を成し遂げた気持ちでしたが、始まりに過ぎない事を後々知ることに。

ライセンス発行後、しばらくするとデビュー戦が決定。場所は千葉県の市原臨海体育館。
対戦相手は地元ジムのイラン人選手とのこと。デビュー戦でいきなり外国人選手とやることに。
当時の勤務状況は夜勤がメインであった為、毎日練習には行けず練習不足が不安でしたが夜勤前の走り込み・夜勤後の練習などでカバー。
練習内容もアマ時代とは段違いのハードさ。ミット蹴りでは限界まで追い込まれ、酸欠で頭の中が真っ白になることもありました。
今まで経験の無いハードな練習と減量、そして仕事。
そんな多忙な生活の中でも試合に勝つという目標がある為、逃げ出したいという気持ちは全くなく、試合に向けて集中し練習に励んでいました。
アマ時代と違いプロになると大きな違いがあります。プロ試合ではヘッドギアもなく、グローブは小さくなり素足で蹴り合い肘打ちも有効となります。
拳はグローブで守られていますが、膝と肘にはむき出しの為、非常に強力な武器になると同時に、攻撃を受けた際は大きなダメージを負う可能性がある危険な技です。
素足で蹴り合い、時には思いっきり蹴った脛と相手の脛が衝突。
考えただけで痛いです。しかし先輩にその事を聞くと試合中は全く痛くないよ。と・・・信じられませんでした。

デビュー戦当日

デビュー戦当日。朝10時から千葉県市原市で計量がある為、自ら運転する車で出発。
当時はアクアラインの通行料が高額であった為、遠回りで市原まで向かいました。
現地に向かう車の中では、何で今から外国人選手とリングで殴り合わないといけないのか？と自問自答しながら、館山自動車道を走行し会場に到着。計量会場には対戦相手も来ており、勿論強そうに見えました。
計量も無事にパスし試合開始まで約５時間程度あります。
一旦帰宅するには時間が短い為、一緒に出場するジムメンバーと近くの健康ランドで休憩する事に。
食事を済ませ休憩室で体を休めていましたが落ち着かない。一人で車に戻り恐怖心と戦っていました。
デビュー戦には友人・同僚達が大勢駆けつけてくれます。
その大勢の仲間達の前で恥ずかしい試合をしたらどうしようか・・・などマイナスな事ばかりが頭をよぎります。

試合時間が近くなり会場へ戻ることに。控室は体育館のロッカー室。
試合前にはタイオイルと呼ばれる発汗性のあるタイ製のオイルを体に塗ります。
このタイオイルは湿布のような臭いで、キックボクシングの会場に来た事がある方なら、会場で臭う湿布臭はこれが原因です。
試合後は翌日までこの臭いが家中に漂っています。
バンテージを拳に巻き、グローブを装着。何度試合をしても、この瞬間が一番もう逃げられないという気持ちになる瞬間です。
客席付近に設けられたパイプ椅子に座り出番を待っていると、２階席にいた友人達から声援をもらいましたが笑顔で返せる余裕はありませんでした。

試合開始

いよいよ出番となり入場。デビュー戦など経験の浅い選手には入場曲などはなく、相手選手と同時に入場です。
リング上で相手と対面すると恐怖心は一切無くなり、もうやるしかないと覚悟が決まった。
ゴングが鳴り試合開始。アマチュア経験・強い先輩方とのスパーリングのお陰で、それほど緊張感はなし。
普段の練習通り攻撃しディフェンス。先輩に言われていた通り、試合中に脛が相手の膝や脛にぶつかっても痛くない。
アマ時代は2分２ラウンドで疲労困憊だったスタミナが、３分３ラウンド戦えるスタミナになっていました。
練習で追い込まれていたお陰でスタミナ切れを起こすことなく、３ラウンドやり切り判定勝ち。
試合後に小さなトロフィーをもらった嬉しさは今でも忘れられません。
控室に戻り練習仲間・トレーナー・会長から祝福していただき最高な気持ちでした。
気持ちの高ぶりも落ち着いてきた頃、脛を見ると凹んでいる個所や傷付いている個所があり、痛みが出てきましたが、勝利の喜びの方が大きくそれほど気になりませんでした。

キックボクシングを始めて人生が変わった

試合翌日、減量からの解放、恐怖心からの解放で見える景色の色が変わって見えます。
キックボクシングを始めプロデビューしたのが２５歳。私の人生は大きく変わりました。
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※２２歳からキックボクシングを開始し２５歳でプロデビュー。画像はデビュー当時です。

試合出場の目的だけではなく、キックボクシング・ブラジリアン柔術を通して
心身共に健康になり、日々の生活の活力になれるような場所を提供させていただきます。